別の記事でリスニングのときの大敵”同音異義語”について解説しました。
今回はリーディングのときの大敵”同綴異義語”かつ”同綴異音語”を解説します。
同じ綴り(スペル)なのに、発音が違う、そして意味も違う、というなんともややこしい英単語をまとめました。
異なる語源の単語が同じ綴りになったパターン
もともと別の単語だったものが、スペルの変化・標準化の結果、同じ綴りに見えるようになったケースです。
英語は、ゲルマン語やフランス語、ラテン語などからできた混合言語で、かつスペル固定が早かったため、別語源の単語が大量に同じスペルになった、、、と言われています。
紛らわしい…。
lead:/liːd/ /led/
- /liːd/ 「導く」
- /led/ 「鉛」
「導く」は古英語 lǣdan、「鉛」は古英語 lēad にさかのぼり、語源が別。
つまり、偶然同じ綴りに見えるようになった代表例。
tear:/tɪr/ /ter/
- /tɪr/ 「涙」
- /ter/ 「引き裂く」
「涙」は古英語 tēar、「裂く」は古英語 teran。
これも語源が別で、あとから同じ綴りに見えるようになった型。
row:/roʊ/ /raʊ/
- /roʊ/ 「列」
- /raʊ/ 「口論」
「列」は古英語 ræw / reawe、「口論」は18世紀のケンブリッジ学生俗語で、語源不明ながら別系統とされる。
同じ row でも、歴史はかなり離れている。
sow:/soʊ/ /saʊ/
- /soʊ/ 「種をまく」
- /saʊ/ 「雌豚」
「種をまく」は古英語sāwan、「雌豚」は古英語sugu。
意味も語源も無関係で、スペルだけ一致したタイプ。
wound:/wuːnd/ /waʊnd/
- /wuːnd/ 「傷」
- /waʊnd/ 「wind の過去・過去分詞」
「傷」は古英語 wund / wundian 、「windの過去・過去分詞」は windan「巻く」の活用形。
つまりこれも、別語源の語と活用形が同綴になった例。
品詞によって発音が変わるパターン(ストレス移動)
これは、フランス語・ラテン語由来の語が、名詞と動詞でアクセント分化したパターン。
もともとロマンス系の借用語が入ってきたあと、英語のリズムに合わせて、名詞は前アクセント、動詞は後アクセントに分かれやすくなりました。
record
- récord 「記録」
- recórd 「記録する」
語源はラテン語 recordari。
借用後に、英語らしいアクセント配置で名詞・動詞が分化しました。
permit
- pérmit 「許可証」
- permít 「許可する」
語源はラテン語 permittere。
これも「ロマンス語由来の語が英語内で品詞ごとに強勢を分けた」典型例。
present
- présent 「贈り物/現在の」
- presént 「提示する、贈呈する」
語源はラテン語 praesens / praesentare 系。
綴りはそのまま、アクセントだけが役割分担しました。
conduct
- cónduct 「行為、ふるまい」
- condúct 「導く、指揮する」
語源はラテン語 conducere。
「導く」という動詞の意味から、名詞「行為・ conduct」も発達し、英語内でアクセントが二分されました。
conflict
- cónflict 「対立」
- conflíct 「対立する」
語源はラテン語 confligere / conflictus。
これも同じく、借用語が英語の語類パターンに合わせて強勢分化した例。
補足:英語史上の大事件「大母音推移」
大きく2つのパターンを分けましたが、それらにも大きな影響を与えた事件がありました。
それが1400~1600年頃に起きた大母音推移(Great Vowel Shift)。
英語の発音・綴り固定の「裏ボス」です。
とても面白い事件なので詳しくは別記事で紹介しますが、この影響で発音が大きく変化しました。
それなのに綴りは固定されたまま、ということが起こったのです。
このせいで、これまでに紹介した英単語や、皆さんご存じ”read”(現在系だと/riːd/、過去形だと/red/)のような単語が大量に生まれました。
補足:windの語源
同綴異義・異音語と聞いて、”wind”という単語を思い出す方も多いのではないでしょうか。
/wɪnd/:風
/waɪnd/:巻く
この単語は、なぜ同じ綴りで別の意味・音になったのでしょうか。
これについては、現在諸説あります。
古英語では、「風」windと、「巻く」windanという別の単語として存在しており、別単語が偶然同じ綴りになった、と言えそうです。
しかし、さらにさかのぼると両者は「回る・ねじれる」といった意味の古い語根に関連している可能性も指摘されており、語源の解釈には多少の幅があります。
語源についてはまだまだ研究が進められており、また新たな面白い説も出てくるかもしれません。
ややこしいけど面白い
綴りと意味だけを頑張って覚えるだけだと苦痛な英単語。
そこをさらに踏み込んでみると、英語の歴史が垣間見れてちょっと面白いですよね。
根を詰めて暗記するのももちろん大切ですが、時に少し回り道してみると記憶の定着の助けになるかもしれません。
ややこしい英単語を解説した記事はほかにもありますので、以下のリンクからぜひ見てみてください!


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