英単語を勉強しているとぶち当たる壁、多義語。
1つの単語に当てはまる意味が多すぎる!!!覚えられない!!!
そんな人へ、なぜ多義語が生まれてしまうのか、その仕組みを解説します。
仕組みを理解すると、多義語を覚えるのにきっと役に立つでしょう。
もとの意味の比喩表現や似た意味も持つようになった(metaphor)
もとの意味と形・位置・働き・感覚が似ているものに、同じ語が使われるようになるパターンです。
英語では特に
- 身体の部位
- 動作
- 空間的な位置
といった具体的なイメージが、抽象的な概念を表す言葉へ広がることがよくあります。
いくつか例を見てみましょう。
head
語源:古英語 heafod(頭)
もともとは人体の「頭」を指す言葉ですが、古い段階からすでに
- 丘や坂の頂上
- 集団の長
- 先頭
といった意味でも使われていました。
これは、人間の体の中で頭が一番上にある部分であることから、「上にあるもの」「先頭にあるもの」を表す言葉として使われるようになったためです。
その結果、現代英語では
- head of the company(会社のトップ)
- head of the table(テーブルの上座)
- headline(見出し)
など、「上・先頭・中心」を表す意味が広く定着しています。
branch
語源:古フランス語 branche(木の枝)
もともとは木の幹から分かれて伸びる「枝」を意味していました。
そこから、枝が幹から分かれていく様子になぞらえて、
- branch office(支店)
- a branch of science(学問の一分野)
- family branch(家系の分家)
など、「中心から分かれて広がるもの」を表す意味が生まれました。
つまり、木の構造をイメージした比喩によって意味が広がった例です。
grasp
語源:古英語 græpsian(手でつかむ)
もともとは物を手でしっかりつかむことを意味していました。
この「つかむ」という動作から、
- grasp an idea(考えを理解する)
という意味が生まれました。
物理的に何かをつかむことと、頭の中で考えをしっかり理解することが、どちらも「つかまえる」という感覚で表現されるようになったためです。
このように、身体の動作が思考の表現に広がるのは英語ではよく見られるパターンです。
日本語でも、”コツをつかむ”という表現がありますね。
see
語源:古英語 sēon(見る)
この語はもともと「目で見る」という意味でしたが、古英語の段階ですでに
- 理解する
- 気づく
という意味でも使われていました。
たとえば現代英語の“I see.”は「見える」という意味ではなく、「なるほど、理解した」という意味です。
これは「目で見て理解する」という感覚から、理解そのものを表す言葉として使われるようになった例です。
point
語源:ラテン語 punctum(突いた跡・点)
もともとは「先端」「点」「とがった部分」を意味していました。
そこから、
- the point of the story(話の要点)
- get to the point(要点に入る)
など、話や議論の核心を表す意味が生まれました。
これは、物理的な「一点」が「議論の中心」や「核心」にたとえられた結果です。
現実世界での関係性で意味が移り、複数の意味を持つようになった(metonymy)
こちらは「似ているから」ではなく、現実世界で密接に結びついているから意味が移るパターンです。
たとえば
- 舌 → 言語
- 王冠 → 王権
のように、あるものが別のものを象徴する形で意味が広がることがあります。
言語学ではこのような変化を メトニミー(metonymy) と呼びます。
こちらもいくつか例を見てみましょう。
tongue
語源:古英語 tunge(舌)
もともとは人体の器官である「舌」を指す言葉でした。
舌は話すときに使われるため、そこから
- mother tongue(母語)
のように、「言語」を意味する言葉としても使われるようになりました。
つまり舌(話す器官) → 話す言葉という関係から意味が広がった例です。
crown
語源:ラテン語 corona(王冠)
もともとは王や支配者がかぶる装飾品でした。
そこから
- 王権
- 王室
- 国家権力
などを表す意味でも使われるようになりました。
たとえばthe Crownは文脈によって
- 王室
- 国家
- 政府
などを指します。
これは「王がかぶるもの」が「王の権力」を象徴するようになった例です。
hand
語源:古英語 hand(手)
手は作業をするときに使う体の部位です。
そのため、そこから
- farm hand(農場労働者)
- hired hands(雇われ労働者)
のように、働き手や作業者を意味する言葉としても使われるようになりました。
つまり手 → 手を使って働く人という関係から意味が広がりました。
mouth
語源:古英語 mūþ(口)
口は物が出入りする開口部です。
この特徴から、
- the mouth of a river(川の河口)
のように、川が海へ流れ込む場所を表す言葉としても使われるようになりました。
これは口(開口部) → 物の出口や入口という関係による意味の広がりです。
heart
語源:古英語 heorte(心臓)
もともとは人体の臓器である「心臓」を指す言葉でした。
しかし古い時代には、心臓は
- 感情
- 意志
- 勇気
などの中心だと考えられていました。
そのため
- take heart(勇気を出す)
- learn by heart(暗記する)
など、「心」や「精神」を表す意味でも使われるようになりました。
多義語になりやすい単語の特徴:古い!使用頻度が高い!
ここまで例示した単語には共通点があります。
それは”古くから使われている単語であること””日常的によく使われる基本語であること”です。
古英語に由来する非常に古い単語は長い時間使われる中で、”比喩””関連性”によって少しずつ意味が広がり、多義語になっていきました。
日本人がよく躓く”take”や”get”などはまさにそうで、基本イメージの”取る””得る”から多くの意味に派生していきました。
この2単語の語源・派生の仕方についてはこちらの記事でご紹介していますので、よろしければご覧ください!
補足:多義語ではないけど歴史の中で意味の範囲が狭まったり、広がったりしたケース(semantic shift)
単語の意味が歴史と共に広くなったり狭くなったりしたケースも紹介しておきます!
- meat
- 昔:食べ物全般
- 今:肉
- deer
- 昔:野生動物
- 今:シカ
- hound
- 昔:犬
- 今:猟犬
- bird
- 昔:ひな鳥
- 今:鳥全体
- girl
- 昔:子ども(男女どちらも)
- 今:女の子
このように、単語の意味は長い時間の中で広がったり、狭まったりしながら変化していくのです。
多義語は元のイメージを身に着けろ!
多義語の意味を一つずつ覚えるのではなく、元のイメージを身に着けてそこから派生させる、という覚え方のほうが定着しやすいということがなんとなく分かったのではないでしょうか。
1つの単語に複数の、一見関連がなさそうな意味が連なっていたら、意味同士の関係性を考えてみると面白いと思います。
とはいえ、”同形異義語”という、全く別の語源がたまたま同じ綴りになってしまった、、、というケースもあるので、英単語というのはややこしいものです。
ややこしい英単語を解説した記事はほかにもありますので、以下のリンクからぜひ見てみてください!


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